介護の仕事を始めようとすると、必ず出てくるのが介護福祉士という言葉。国家資格と聞くと、自分には縁のないもののように感じてしまう。そう思って、調べる前に閉じていませんか。
- 国家資格は自分には無理
- 学校に通う余裕がない
- 何年かかるのか見えない
- 今の仕事が数えられるのか

国家資格なんて、学校に行かないと取れないものですよね…。

それが違うの。働きながら取る人のほうが、実は多いんだよ。
介護福祉士は、介護の分野で唯一の国家資格です。ただし学校に通わなくても、働きながら目指せる道があります。この記事では受験資格の4つのルートを整理し、未経験から働きながら取る場合に何が必要かをまとめました。読み終えるころには、自分の何年後に届くものか見えているはずです。
なお受験資格の判断は個別性が高く、制度も見直されることがあります。最終的には、試験を実施している公益財団法人社会福祉振興・試験センターへご確認ください。
介護の仕事をはじめから知りたい方は、介護の仕事と資格と職場選びの全体像をご覧ください。
介護福祉士とは

まず、この資格が何なのかを押さえておきましょう。名前は知っていても、持つとどう変わるかまでは意外と知られていません。取ると、できることも立場も変わります。3つに整理しました。
介護で唯一の国家資格
介護の分野で国家資格とされているのは、介護福祉士だけです。初任者研修や実務者研修は、国が定めた研修という位置づけになります。そのため、介護福祉士は専門職としての区切りになる資格です。
任される仕事が広がる
現場でのリーダーや、新人の指導を任されることが増えます。訪問介護であれば、サービス提供責任者という役割に就く道も開けます。判断を求められる場面が増えるぶん、やりがいも大きくなるでしょう。
待遇にも反映される
資格手当を設けている事業所が多くあります。求人票を見ても、介護福祉士とそれ以外で金額が分かれているのが一般的です。金額は事業所によって違うため、求人票で確かめましょう。
給料の仕組みは介護職の給料が変わる理由と見方で解説しました。
受験資格の4つの道

介護福祉士の国家試験を受けるには、受験資格が要ります。そこへ至る道が4つ定められています。多くの方が通るのは、このうちの1つだけです。まず全体を見てから、自分の道を選びましょう。
実務経験ルート
働きながら経験を積んで受験資格を得る道です。未経験から介護を始めた方の多くが、このルートを通ります。この記事でも、以降はこのルートを中心に説明します。
養成施設ルート
指定された専門学校や短大などを卒業する道です。学費と通学の時間が必要になりますが、実務経験は求められません。時間に余裕のある方や、学び直しを考えている方に向いています。
福祉系高校ルート
福祉系の高校を卒業した方が対象となる道です。入学した年度によって扱いが分かれるため、該当しそうな方は確認が必要になります。大人になってから介護を目指す方には、あまり関係のないルートでしょう。
EPAルート
経済連携協定にもとづき、海外から来日して介護を学ぶ方のための道です。受け入れ施設で研修と実務経験を積む仕組みになっています。一般的な求職活動とは別の枠組みです。
働きながら目指す道

ここからが本題です。未経験から介護を始めた方が通るのは、実務経験ルートになります。必要なのは実務経験と、実務者研修の修了の2つです。順に見ていきましょう。
3年と540日
実務経験には2つの数え方があり、どちらも満たす必要があります。在籍した期間が3年、日数にして1,095日以上あること。そして実際に介護の業務に従事した日数が540日以上あることです。
在籍していても、勤務日数が少なければ540日に届きません。週に何日働くかで、到達する時期が変わります。パートから始める場合は、ここを頭に入れておきましょう。
実務者研修を修了する
実務経験に加えて、実務者研修の修了が必要になります。初任者研修の次の段階にあたる研修です。保有している資格によって、受講する時間数が変わる仕組みになっています。
研修の内容と期間は実務者研修の内容・期間・費用に、費用を抑える方法は介護の資格を無料で取る方法5つにまとめました。
複数の職場も通算できる
ひとつの職場で3年続ける必要はありません。複数の事業所で働いた期間は、合わせて数えられる扱いです。職場が変わっても、積み上げたものが消えるわけではありません。
病院の看護助手として働いた期間も、主たる業務が介護等であれば対象になるとされています。詳しくは病院の看護助手の仕事と選び方で扱いました。
試験のこと

受験資格が見えたら、次は試験そのものです。国家試験と聞くと身構えてしまいますが、仕組みは単純です。年に1回しかないので、そこだけ気をつけてください。3つに分けて説明します。
試験は年に1回
例年1月下旬に実施されています。申し込みは前年の秋ごろに締め切られるため、年単位での準備が必要です。1年に1度しかないので、申込時期を逃さないよう気をつけましょう。
筆記が中心
試験は筆記が中心です。ルートによって実技の扱いが異なるため、自分の場合どうなるかは確認しておきましょう。出題の範囲や科目も、試験センターの案内で公表されています。
合格の目安
合格の基準は、6割程度の正解が目安といわれています。ただし問題の難しさによって、調整が入る年もあるようです。満点を目指す試験ではなく、基本を押さえれば届く設計だと考えてください。
今日からできること

3年先の話に聞こえますが、今からできる準備があります。むしろ最初にやっておかないと、あとで困ることのほうが多いのです。働き始める前に知っておくと、無駄がありません。ここでは3つに絞りました。
対象になる職場を選ぶ
実務経験として数えられる施設と職種は、定められています。同じ介護に関わる仕事でも、内容によって対象外になることがあります。将来を見据えるなら、応募の段階で確認しておきましょう。
こちらでの勤務は、介護福祉士の実務経験として認められる形になりますでしょうか。
働いた日数を記録する
従事日数は、あとから自分で数えることになります。勤務表やシフトの控えを残しておくと、受験のときに慌てません。職場が発行する実務経験証明書の内容とも照らし合わせられます。
実務者研修の時期を考える
実務経験の3年を待ってから研修を受けると、受験がさらに先になります。働きながら先に修了しておけば、条件がそろった年に受験できる形です。事業所の支援制度が使えないかも、あわせて聞いてみましょう。
介護福祉士でよくある質問

最後に、目指すうえで迷いやすい点をまとめました。どれも始める前に知っておきたいことばかりです。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。
パートでも対象になる?
雇用形態は問われません。ただし従事日数540日を満たす必要があるため、勤務日数によって到達時期が変わります。週の勤務日数から逆算しておくと、見通しが立つでしょう。
訪問介護でも数えられる?
対象となる職種に含まれています。施設でも訪問でも、介護の業務であれば積み上がる形です。訪問介護の働き方は訪問介護の仕事内容と備え方にまとめました。
年齢の上限はある?
受験資格に年齢の制限はありません。幅広い年代の方が受験しています。何歳からでも目指せる資格だと考えて差し支えありません。
ブランクがあっても大丈夫?
過去の実務経験も通算の対象になります。ただし証明書を発行してもらう必要があるため、当時の勤務先との連絡が要ります。古い経験がある方は、早めに確認しておくと安心でしょう。
取らなくても働ける?
働けます。無資格や初任者研修のままで続けている方も多くいます。ただし任される仕事や待遇に差が出るのは事実です。必須ではなく、選択肢として考えてください。
ケアマネも目指せる?
目指せますが、介護福祉士を取ってからさらに実務経験が必要です。ケアマネジャーの受験資格は、国家資格等にもとづく業務で5年かつ900日以上とされています。介護福祉士を取得する前の介護業務は、原則として数えられません。
つまり介護福祉士を取ってから、もう一度5年を積む形になります。2018年に要件が見直されたため、古い情報と食い違うことがあります。詳しい要件は、お住まいの都道府県の案内でご確認ください。
独学でも合格できる?
市販のテキストや過去問で学習する方もいます。実務者研修で学んだ内容と重なる部分が多いためです。不安があれば、対策講座を利用するという選択もあります。
まとめ|3年後に効いてくる

介護福祉士は、学校に通わなくても目指せる国家資格です。働きながら、1日ずつ積み上げていけば届きます。今日の勤務が、そのまま受験資格の1日になります。
- 受験資格の道は4つある
- 未経験からは実務経験ルート
- 3年かつ540日と実務者研修
- 複数の職場は通算できる
- 対象になる職場かを先に確認

働きながら取れるとわかって、現実的に思えてきました。

そうだよ。しかも今日働いた1日が、もう数え始まっているからね。
応募を考えている職場があれば、ひとつだけ聞いてみてください。「こちらでの勤務は実務経験として認められますか」。この一言で、3年後の選択肢が変わります。資格を取るかどうかは、あとから決めて構いません。
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