退職した日の翌日から、健康保険証は使えなくなります。けれども会社は、そのあと何をすればいいかまでは教えてくれません。保険証を返したきり、何も手をつけられないまま日が過ぎていませんか。
- 健康保険はどれを選べばいいのか
- 年金の手続きはどこでするのか
- いつまでに行けばいいのか
- 収入がないのに払えるのか

保険証を返したあと、何もしないままになっていて…。

大丈夫、まだ間に合うことが多いの。でも期限が2つあるのは知っておいてね。
先に結論をお伝えします。退職後の手続きには期限が2つあり、任意継続は20日以内、国民健康保険と年金は14日以内です。そして健康保険は、自分で3つの中から選ぶことになります。
この記事は、公式の案内を一つずつ確認したうえで、実際に退職して市区町村の窓口で保険料を計算してもらった経験をもとにまとめました。制度は年によって変わるため、2026年の時点でわかっている内容です。保険料の額や条件は住んでいる場所と前の年の収入で変わるため、金額そのものは書かず、どこに聞けば分かるかを添えてあります。
読み終えるころには、健康保険をどう選ぶか、年金をどうするか、そしていつまでに何をすればいいかが分かります。窓口に電話をかけるときも、何を聞けばいいか迷わなくなるはずです。なお失業保険そのものの手続きは失業保険の手続きと再就職手当にまとめました。また転職をはじめから知りたい方は、転職の流れとお金と手続きの全体像をご覧ください。
退職後にある3つの手続き

まず、やることの全体像をつかみましょう。別々の窓口で、別々の期限がある点がややこしいところです。健康保険、年金、住民税の3つがあります。順に見ていきましょう。
健康保険の切り替え
退職日の翌日から、会社の健康保険は使えなくなります。次が決まっていない場合は、自分で別の健康保険に入る形です。選び方が3つあるので、このあと詳しく説明します。
年金の切り替え
会社員のあいだは厚生年金に入っていました。退職後は、自分で国民年金に切り替える手続きが必要になります。配偶者の扶養に入る道もあり、その場合は手続きの先が変わります。
住民税の支払い方
住民税は、前の年の収入にかかる税金です。収入がなくなっても請求が続くため、ここで驚く人が多くいます。退職後は自分で納める形に切り替わるのが一般的でしょう。
健康保険は3つから選ぶ

次に、健康保険の選び方です。どれか1つを自分で選んで手続きする形です。放っておくと、どれにも入っていない状態になってしまいます。3つを順に見ていきます。
任意継続を選ぶ
前の会社の健康保険を、そのまま続ける方法です。最長で2年間続けられ、受けられる給付も在職中と同じ形になります。ただし会社が半分出していた分がなくなるため、負担は増えると考えてください。
保険料は本人の報酬をもとに決まり、扶養が何人いても変わりません。そのため扶養する家族が多い人ほど有利になりやすい仕組みです。ただし計算のもとになる額には上限があり、年度ごとに見直されています。
国民健康保険に入る
市区町村の健康保険に入る方法です。保険料は前の年の収入などをもとに計算される仕組みです。なお国民健康保険には扶養という考え方がなく、世帯の人数分の保険料がかかります。
家族の扶養に入る
配偶者や家族が入っている健康保険の扶養に入る道もあります。条件を満たせば、自分の保険料の負担はありません。収入の条件が決まっているため、家族の勤め先に確認してもらいましょう。
どれを選ぶかの決め方

3つあると言われても、すぐには決められません。決め方には順番があり、調べる先もはっきりしています。金額を聞いてから決めても間に合います。3つに分けて見ていきましょう。
まず扶養に入れるか
いちばん負担が軽いのは、家族の扶養に入る形です。入れるかどうかは収入の条件で決まります。ここが使えるなら、ほかを調べる必要はありません。
金額を2か所に聞く
扶養に入れない場合は、残りの2つを金額で比べます。任意継続は前の会社が入っていた健康保険に、国民健康保険は市区町村に聞いてください。どちらも電話で教えてもらえる内容です。
ここで大事なのは、人に言われた見立てで決めないことです。扶養が多いから任意継続のほうが安いはずだ、と会社からすすめられることがあります。けれども前の年の収入によっては、国民健康保険のほうが安くなることもあるのです。
国民健康保険の保険料は、市区町村の窓口でおよその月額を計算してもらえます。任意継続の額とは逆の結果になることもあるため、両方の数字を見てから決めましょう。
期限は20日と14日
ここが一番の注意点になります。
- 任意継続 … 退職日の翌日から20日以内
- 国民健康保険 … 退職日の翌日から14日以内
似ているようで日数が違います。とくに任意継続は20日を過ぎると選べなくなるため、先に調べておきましょう。
年金の切り替え

年金のほうは、健康保険より選択肢が少なくなります。次の仕事が決まるまでのあいだ、どうするかという話です。こちらの期限は14日以内になります。3つに分けました。
国民年金に切り替える
市区町村の窓口で、国民年金への切り替えを届け出ます。これを第1号被保険者といい、保険料は自分で納める形です。年金手帳か基礎年金番号が分かるものを持っていきましょう。
配偶者の扶養に入る
配偶者が会社員や公務員で、収入の条件を満たす場合に選べます。この場合、自分で国民年金の保険料を納める必要はありません。手続きは配偶者の勤め先を通して行うことになります。
何もしないと困ること
届け出をしないままでも、支払いの義務はなくなりません。あとからまとめて請求が来ることになります。将来受け取る年金額にも響くため、先に手続きを済ませましょう。
払うのが難しいとき

収入がない時期に、保険料だけ請求されるのはきついものです。そのための仕組みが用意されています。退職を理由にした特例があることは、あまり知られていません。3つに分けて整理しました。
失業による特例免除
国民年金には、保険料の免除や猶予を申請できる仕組みがあります。通常は前の年の収入で審査されますが、退職した場合は特例があります。前の年の自分の収入を除いて審査してもらえるという内容です。
必要なもの
申請には、失業したことが分かる書類が要ります。
- 離職票の写し
- または雇用保険受給資格者証の写し
失業保険の手続きで使う書類と同じものです。ハローワークに行くときに、あわせて考えておくと二度手間になりません。
毎年の申請が要る
この免除は、一度申請すれば終わりではありません。年度ごとに申請し直す必要があります。申請できる期間が決まっているため、窓口で次回の時期を聞いておきましょう。
退職後の手続きでよくある質問

最後に、窓口へ行く前に迷いやすい点をまとめました。どれも先に知っておくと一度で済むことばかりです。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。
期限を過ぎてしまったら?
国民健康保険と年金は、過ぎても手続きできます。ただし保険料は退職日の翌日までさかのぼって請求されます。任意継続だけは期限を過ぎると選べなくなるため、ここが分かれ目です。
すぐ次の職場が決まっている場合は?
入社日まで日が空かないなら、新しい職場で手続きしてもらえます。数日でも空く場合は、その間の扱いを新しい職場に確認してください。空白の日に病院へかかると、全額自己負担になることがあります。
保険証はいつ返す?
退職の日までに、会社へ返すのが基本です。家族の分も一緒に返すことになります。退職日を過ぎてから使うと、あとで請求されるので気をつけてください。
住民税はどうなる?
退職後は、自分で納める形に切り替わるのが一般的です。納付書が家に届くので、それにしたがって納めます。一度に払うのが難しいときは、市区町村に相談できます。
医療費が払えないときは?
保険料や医療費の支払いが難しいときは、必ず窓口で相談してください。黙って滞納すると、使える制度まで使えなくなることがあります。減額や分割に応じてもらえることもあるでしょう。
何から始めればいい?
市区町村の窓口に行けば、健康保険と年金の両方を扱っています。離職票と本人確認書類を持っていけば、その場で教えてもらえます。1回で済ませたいなら、ここから始めるのが近道でしょう。
まとめ|期限は意外と短い

退職後の手続きは、数が多いわりに期限が短く設定されています。任意継続は20日、国民健康保険と年金は14日です。落ち着いてからやろうと思っていると、選べる道が減ってしまいます。
- 健康保険は3つから自分で選ぶ
- 任意継続は20日以内
- 国民健康保険と年金は14日以内
- まず扶養に入れるか確かめる
- 金額は2か所に電話で聞ける
- 払えないときは失業の特例がある

期限が違うなんて知りませんでした。先に聞いておきます。

それでいいの。金額を聞いてから決めても、ちゃんと間に合うからね。
今週は、市区町村の窓口に電話を1本かけてみてください。退職したので保険と年金の手続きをしたい、それだけで通じます。必要なものと、いくらになるかを教えてもらえます。金額が分かってから、どれにするか決めれば十分です。
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